Scuola Toscana

イタリア文部省認定語学学校
イタリア語学学校スクオーラトスカーナ


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benci便り

課外活動 : 伝統工芸工房見学

「Artigiani di oltrarno」伝統工芸工房見学 - 金細工職人のCecchi氏訪問

アルノ川を渡るとそこは職人工房があつまる下町オルトラルノ。1900年代製の型押し機から作り出される装飾品の美しさに圧倒されます。

フィレンツェの伝統工芸工房ってどんな感じ?

今回はフィレンツェ市主催のガイド付き見学ツアーに参加する形のアクティビティーで、午後4時、スクオーラトスカーナを出発した私達グループは待ち合わせの場所であるピッティ宮殿前のキオスクへと向かいました。

昔はたくさんあった職人工房ですが、残念ながら今は数えるほどしか生き残っていません。この見学ツアーは、"失われ行く伝統工芸職人に活気を与える"目的と観光とをうまく融合させたフィレンツェ市主催の企画で、伝統工芸工房の様子をひろく観光客や学生に紹介しようと、期間限定の試みでフィレンツェ市が去年の秋からガイド付き見学ツアーとして始めました。(大変評判がよく現在も継続されています。)

さて、今回私達のグループはスイスから来た学生の団体と日本人学生2名、我々の引率をしてくれるカテリーナ先生です。待ち合わせ場所にはその他に一般の参加者の方もいました。フィレンツェ市のガイドさんと合流し、ちょっとした散策を楽しみながら早速金細工職人Cecchi氏の工房に向かいます。

ガイドさん : Oltrarno(アルノ川の向こう側という意味)の地区では羊毛をはじめ中世にたくさんの手工業が栄えました。Bra bra bra・・・・・中略・・・・ それでは近くの教会と重要な通りを散策しながらまいりましょう。

ピッティ宮殿から borgo san jacopo を抜けて via maggio へ。ガイドさんの説明によると via maggio の名前は "maggiore"(イタリア語でよりすぐれた、重要なという意味) から来ているそうです。 中世メディチ家の時代この近辺にはメディチ家の重要な邸宅が多くあったので、この通りはメインストリートの一つだったのです。中世の衣装に身を包んだ豪族達が往来する様子を想像しながら、私達はサントスピリト方面に向かって右へ曲がり、目的地であるCecchi氏の工房へ到着。

Cecchi氏は紳士風のとても感じの良い方で、話し方も丁寧。日本でもイタリアでも、いわゆる職人さんのイメージはかなり独特な雰囲気と話し方をされる印象ですが(べらんめえ口調とか..?)彼はとても親しみを感じる雰囲気です。

呼び鈴を鳴らすと玄関が開き、我々は工房へと招かれました。

中に入り最初に目を奪われたものは、きれいに並べられた完成した装飾品の数々!キラキラとしたそれらはとても綺麗で思わず工房ということを忘れショッピングをしたくなるほど魅力的です。それを横目で見ながらCecchi氏に案内され階下の工房部分に進みました。

小さい作業場には銅版、金板、いかめしく古そうな型押し機(1900年代のもの。現役!)、金属を焼く釜などがところ狭しと並べられてあり、いかにも工房といった雰囲気です。

その作業場でCecchi氏は私達に模様型の種類や手間のかかり方、どのように完成品ができるかを説明して下さいました。模様型の制作は全て手作業で、複雑なものは3ヶ月もかかるそうです。

完成した模様型の上に金属の板を置いて1900年代製の型押し機へ挿入。すると ゴリゴリゴリ・・・という音とともに金属板は圧縮され模様が刻まれます。圧縮されるときに熱が加わるらしく、それを手に取ってみるとほんのり暖かく表面はピカピカと光っていました。

「もし5セント硬貨をもっていたら出してごらん」というCecchi氏の一言に、我も我も!と興味津々でお財布から硬貨を取り出し手渡すみなさん。Cecchi氏はおもむろにそれをフィレンツェマーク(ユリと弾薬の紋章)の型の上におき、圧縮機へ。すると5セント硬貨はとても綺麗なフィレンツェ紋章の刻まれた卵型の金属板に変身しました!なんだかお土産のキーホルダーになりそう。

作業場の見学を一通り終え、はじめに見た完成品の陳列された場所にもどってきました。金属板がどのように美しく製品になっていくのか、作業場でいろいろなお話を聞いたり実際に機械を見ることができたので、最初に見たときの完成品も実は歴史の重みのある機械や熟練した技術が使われている上での美しさなんだと改めて感動しました。

(真珠のミキモトにもここの作品が使われています。写真は生徒のゆきさん)